高等部ブログ
添削指導④/本気で東大を目指すということ⑮
2026/01/28
リード予備校忠節校次の文のまずい点があります。
気付きますか?
『 すべての実数xに対してf(x)>0となるような実数mが存在する 』
私自身、いよいよ初めて
こういう添削をしました。
こんにちは,
リード予備校忠節校の今橋です。
前回までの投稿 ↓
リード予備校忠節校のブログをまとめたものは
添削指導についての補足です。
土屋先生とともに数か月間,東大数学向けの添削をしてきた所感です。
「どの口が」という,極めて偉そうなことを申しますが,
彼らはまだまだ東大の水準には達していないのだろう,
と思わされます。
ここでいう「東大の」は,「東大の中での」や「東大の先での」という意味。
仮に東大入試を突破する数学の能力があったとしても,
入学後,scienceの世界で生きていくに足るだけの,
表現力というか,文章によるコミュニケーション能力というか,
そういったものはまだまだ不十分であるような気がします。
(当然ですが,世界的な科学研究においても,他の研究者との協力・情報共有,
論文を読んだり書いたり,学会で聴いたり話したりすることは命です。)
もちろん,きっとそんな心配は無用,
彼らはきっとまた入学後にものすごいスピードで,
そういった表現力を身につけていくのだろうと思いますが。
「過剰な揚げ足取りをすると受験勉強全体の効率を下げる」
というご指摘を受けるかもしれませんが,
東大の教授たち(採点者)の目線と,
同じ目線とは言いませんが,できる限り近い目線から,
彼らの表現したものを読もうとしています。それだけなのです。
幸運にも私は,一応,大学数学の環境に数年間身を置いてきた立場ですので,
ある程度近いところまでは行けると思っています。
それでも,相当の神経を使います。
本当にしっかりとした添削は,とても片手間ではできません。
とはいえ,そもそも高校生にとって,数学の文を正しく書くことは難しい。
私はこれまで,関でも大垣でも多く添削をしてきましたが,
添削という仕事が「まともに機能」するのは,毎学年せいぜい10名程度です。
多くは,「文」として成立しておらず,
主語がないとか,目的語がないとか,主述が一致していないとか。
英語の問題だとあんなに気にしてくれるのに…
そして「文」として一応成立した後も,数学的・論理的な不備は枚挙にいとまがない。
「⇔」記号の誤用や,「…であればよい」の誤用は,
本当に手垢がたくさんついた話で,最近のSNS上でもそこそこ有名(?)です。
今回彼らに課した添削で,私自身いよいよ初めてこういう添削をした,という話があります。
これまではおおよそ“黙認”してきたことでした。
実際のものを,多少シンプルに直して書くと…
『 すべての実数xに対してf(x)>0となるような実数mが存在する 』
この文のまずい点に気付きますか?
まずい点があるぞと言われれば…まぁもしかして,という感じでしょうか?
多くの場面では,読む人(採点者)の優しさが働いて,
まあいいか,と流してくれるところですが,
最高峰を目指す彼らには,手加減をしてはいけません。
「ダメ」
「意味が伝わらない」
「2通りの解釈ができる」
数学の用語を取り除いて例えるなら
『 どんな病にも効く薬がある 』
という文です。
内容の真偽はさておき,2通りの解釈に気付きますか?
① 『 (どんな病にも効く薬) がある 』
→ 万能薬のこと
② 『 どんな病にも (効く薬がある) 』
→ 対症療法薬のこと
「すべての/どんな/任意の」と「ある…が/存在する」が混在する文は,
しばしばこういう曖昧さを孕みます。
そもそもこういうことに,その場で気づけないといけません。
こういう曖昧さを避けるためには
●「すべて」や「ある」は文頭にまとめ,順序に注意して書く
「すべて」と「ある」は,並べる順序を変えると意味も変わります。
A『すべてのxに対して,あるyが存在して,x<yである』 は真ですが,
B『あるyが存在して,すべてのxに対して,x<yである』 は偽です。
(A:その都度yを見つけるのは簡単。B:そんな万能なyなんて見つかるわけない!)
早稲田大の2次関数の問題の話ですね,
と言って,伝わる受験生はどれくらいいるのでしょうか…
あるいは,
●( )や「 」を適切に使って書く (上記の万能薬/対症療法薬のように)
●「∀」「∃」といった論理記号を中途半端に使わない
といった心掛けも有効です。
難しい話になったかもしれませんが,
大学受験数学の業界(?)ではごく当たり前の話題です。
過去にも,
・難問は解けるのに,文章表現が拙い,幼い
・計算力「だけ」は自信がある
という生徒たちを多く見てきて,私自身もたくさん頭を抱えました。
東大や難関大志望者に限らずとも,
ぜひ日頃から,高1生から,
問題集の模範解答はよく読んでください。
模範解答の計算,論理展開を追うことも重要ですが,
数学の文の書き方,言葉遣いを学んでほしいです。
ここの「経験値」は将来,本当に,雲泥の差になります。























































