高等部ブログ
先月、松井は東京に行きました
2021/12/21
高等部の日本史・世界史講師の松井です。
約一ヵ月前の話になるのですが、私は11月28日(日)に東京に行きまして、ある表彰を受けて参りました。
それは、歴史能力検定の日本史博士の授与です。
こちらは歴史能力検定の1級を5回取得すると与えられる称号です。リード進学塾の生徒さんでも
受験した人が多いかと思いますが、その日は歴史能力検定の本番の日であり、例年その当日に東京
でのみ表彰式が行われるために全国の日本史・世界史それぞれの修士・博士・大博士の取得者が
集まって表彰されます。
今年は日本史博士の取得者は私を含めて6名が表彰されました。私はリードとは全く別の場所で
個人として検定を続けて受賞しました。(ちなみに世界史でも1級は取得しています。)一つの目標
として受験してきたのでやっぱりちょっと嬉しかったですね。
会場に早く着くと、歴史検定協会の黒水会長(昭和6年生まれの御年95歳!)と一対一でお話しをさ
せてもらいました。会長は「この歴史検定を始めてから、ピーク時には全国で5万人受験していたの
に最近では受験者は8千人くらいに少なくなってしまっている」と日本人の歴史離れを憂いてられま
した。
例えば「国際的な会合などで真っ先に帰るのは日本人ですよ。自国の歴史・世界の歴史を知らないの
で外国人と話しができずにそそくさと会場から逃げていくんですよね。」と言ってられました。
「グローバル化が叫ばれる現代で、自国が歩んできた道筋や、今の世界情勢がかたち作られてきた
経緯を知らなくてよいのか?」ということでしょう。
僕としても、いろいろな分野の文章を読むにあたって偏りのない歴史的事実を知っているか
知らないかはその内容理解に決定的に影響すると思っています(入試の現代文・古文・漢文・
英語長文を読解することにも大いに言えます)。
教養や受験のためだけでなく、自分の人生に深みを増すためにも生きた歴史を知っておくことは
絶対にプラスになると思っています。
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ちなみに、いろいろ写真を撮って来ました。
朝7時ぐらいの東京駅の改札ホールです。ちょっと壮麗な感じがしますね。
毎日何万人の人たちが利用するのに、日曜日の早朝の東京駅はとても静かで不思議な感じでした。
東京駅から歩いて数分で皇居に着きますが、これは大手門です。ということは、ここは江戸城のメインゲートですね。
僕にカメラの腕がないので伝わりづらいかもしれませんが、江戸時代260年間を象徴する日本史上かなり重要な史跡ですね。実は!この門をくぐって中に入ると江戸城の天主閣跡があります!。(僕は2回ほど行ったことがあります。)
東京駅周辺は日本随一のビジネスビル街ですが、その中に場違いのような史跡があります。受験日本史必出『承平・天慶の乱』の平将門の首塚です。長い歴史の中で何度か撤去されかけましたが、その度に人が亡くなるというとてもミステリアスな場所です。
さらに15分くらい東に進むと、まさに最終回を迎えようとしていますが『青天を衝け』(吉沢亮主演の大河ドラマ)の主人公である渋沢栄一の銅像があります。明治以降の近代化を大きくリードしてくれた日本の資本主義の父です。令和6年度から一万円札の顔になりますね。
そして日本橋!江戸時代の五街道の起点、つまり庶民にとっての日本の中心を300年近く坦って来た場所ですね。僕は過去100回以上日本橋を見てきましたが、やっぱりこの上を走る首都高速のせいで絵のカッコよさとして残念な感じですね。
東京駅周辺は半径1km以内で平安~江戸・明治~昭和まで様々な史跡が短時間で歩いて見られるので歴史マニアにとってはかなり楽しいですね。(マニア過ぎてちょっと引かれるかな?)
★そして、最後に『湯島聖堂』です。
ここは神社でもお寺でもなく、儒学の宗教施設です。それも日本で最も重要な朱子学の中心地です。
この起源を遡れば将軍綱吉や朱子学者林羅山などが関係してくるのですが、そんな細かい話は歴史に興味のない人には本当にどうでもよい話ですよね。ですがこの機会に特に日本史を受験に使う高校生に伝えたいことがあります。「朱子学を理解しようとしなければ絶対に高得点は取れない。」ということです。江戸幕府の財政難も、三大改革も、幕末の動乱も、幕府の滅亡も、何でしたら昭和の対外戦争も全て朱子学が関係してきます。日本史をしっかり理解したいと思っている人、また別に日本人のメンタリティーに興味がある人はぜひ「朱子学とは何か?」を調べてみることをお勧めします。ちなみに僕は1月の三年生向けの『直前講習』で「江戸時代の朱子学について」の講義をするので、日本史でしっかり得点したい生徒はぜひ受講して欲しいと思います。