高等部ブログ
リード通信Vol. 29 バックナンバー
2025/06/01
リード予備校忠節校こんにちは。忠節校舎の高橋です。
忠節校舎で出しているリード通信のバックナンバーをアップしておきます。今回は去年3月に出したものになります。データなどは当時のままなのでご注意下さい。
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リード通信Vol. 29 (2024年3月号)
(なるべく)毎月1日送信。ただしいつまで続くかは??
1,今月のお話
よく、将来は公務員として働きたいという生徒がいます。(あるいは自分の子どもには公務員になって欲しいと考える保護者の方がいます。)
そのような生徒に「なぜ公務員になりたいの?」と聞くと、たいてい「安定しているから」と答えます。
でも、公務員の仕事って本当に安定しているのでしょうか?
確かに、これまでは公務員は安定した職業だったかもしれません。しかし、今後日本という国そのものがどんどん斜陽化・貧困化していく中、これまでの常識が常識でなくなる可能性はかなり高いのではないかと思います。
実際、過去には夕張市が財政破綻しましたし、現在京都市は政令指定都市であるにもかかわらず財政はかなり危機的な状況にあるという話も聞こえてきます。
国家公務員ならともかく、地方公務員くらいだと今後は危ない可能性はありそうです。
もちろん、公務員の仕事そのものを否定するつもりは全くありません。例えば地方公務員として「地域活性化」において大きな役割を果たす、というのは非常にやりがいのある仕事だと思います。
個人的には、「仕事が安定しているから」でなく「仕事そのものにやりがいを感じるから」こそ公務員を目指すべきだと思っていますし、またそのような方向に公務員志望の生徒の目をむけさせてあげられるように自分自身が知識をつけていかなければいけないと思っています。
繰り返しますが、公務員の仕事に「安定」を期待しても、その期待はいつか裏切られるかもしれません。
公務員だろうが、民間企業で働こうが、安定を得るための一番の方法は実力をつけることです。実力さえあれば、あなたの所属する組織がどうなろうとも、あなたは人生をうまくやっていけるはずです。
さらに、組織だけでなく、今後は国にも頼らずに生きる力が必要になってきます。
貧困化が進む国(=日本)で裕福になることは、もちろん不可能ではありません。しかし、もっと豊かな国で裕福になることよりもハードルはかなり高くなるのではないでしょうか。
もしそうなら、海外で仕事し暮らすことができるというスキルはこれから社会に出る皆さんにとって必須のスキルとなるはず。(もちろん実際に海外に出るかどうかは個人の判断です。ただ、自分がそれを望んだ時にちゃんとそれができる、というくらいのスキルは持っておくべきです。)
まあ、結論は、英語の勉強をさぼるなよ、ってことです(笑)。
最後に、世界的に有名な投資家、ジム・ロジャースの言葉を紹介します:
「私が日本に住む10歳の子どもであれば、一刻も早く日本を飛び出すことを考えるだろう。」
高橋
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2、田辺の一冊 田辺の独断と偏見で本を紹介します。
泉鏡花『高野聖』
泉鏡花は明治~昭和の日本の作家で、怪奇的・幻想的な作品を生みました。
主人公の「私」が、旅の途中で宿を共にした僧の不思議な体験を聞きます。この僧は、ある旅の中で道を間違えた薬売りを追いかけるうちに、恐ろしく不気味な世界に入っていきます。やっとのことである一軒家に着くと、そこには美しい婦人がいて……というお話です。
このあらすじだと古典文学にもありそうな設定ですが(実際、江戸時代の上田秋成の影響が大きいようです)、近代という時代の中でこのような非現実的にみえる作品を書き続けたことにどんな意味があるのか。この作品でも、この美しい婦人が何を意味しているのか、いろいろ考えさせられます。
と書きましたが、鏡花の魅力はその文章にあると思います。
僧が森の中で蛭に襲われる場面なんかはなかなかぞっとします。
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呆気に取られて見る見る内に、下の方から縮みながら、ぶくぶくと太って行くのは生血をしたたかに吸込むせいで、濁った黒い滑らかな肌に茶褐色の縞をもった、疣胡瓜(いぼきゅうり)のような血を取る動物、こいつは蛭じゃよ。
~何にしても恐しい今の枝には蛭が生っているのであろうとあまりの事に思って振返ると、見返った樹の何の枝か知らずやっぱり幾ツということもない蛭の皮じゃ。これはと思う、右も、左も、前の枝も、何の事はないまるで充満(いっぱい)。
私は思わず恐怖の声を立てて叫んだ、すると何と? この時は目に見えて、上からぼたりぼたりと真黒な痩た筋の入った雨が体へ降かかって来たではないか。
―――
言葉に徹底的にこだわった鏡花の作品は、怪奇的幻想的な世界を生き生きと表現しています。言葉の芸術としての文学にひたすら取り組んだ作家です。
ちょっと意味が取りずらい部分もありますが、気にせずどんどん読んでいくと面白くなってきます。ぜひ読んでみてください。
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3、高橋が過去に訪れた国を紹介するコーナーです。読んでも特に何の役にも立たないので読みたい人だけどうぞ(笑)。今回はデンマークです。
首都:コペンハーゲンン
最大都市:コペンハーゲン(人口約81万人)
面積:約4.3万平方キロ(九州とほぼ同じ)
人口:約570万人
一言メモ:平らな国。国内で一番高いところでも海抜171mしかない。(ちなみに世界で一番低い国別最高地点はモルディブの2m。)
ドイツのハンブルグからの国際列車で首都コペンハーゲンに着いたのが12月30日夕刻、コペンハーゲンで泊まろうかどうしようか迷っていましたが、いざ駅に着いたらその先のヘルシンガー行きの列車がちょうど出発するところだったので、思わずそれに乗ってしまい、ヘルシンガーからはそのままフェリーで次の国スウェーデンに渡ってしまいました。
従って、私のデンマークの滞在はほんの数時間、しかもそのほとんどが列車内で、外に降り立ったのはほんの数分だけ。(今思うとせっかく行ったのだからもうちょっと時間をかけて滞在すれば良かったです。)
つまりデンマークでは何も見てないに等しいわけですが、そんな私にも「デンマークで面白かったこと」があります。
ハンブルクからの国際特急列車はハンブルクとコペンハーゲンというそれなりに大きな都市を結んでいるにも関わらず、たったの4両編成でした。そのため私が乗り込んだ時はヨーロッパでは珍しい超満員で、「なんでもっと長い編成にしないんだよ!」とドイツ国鉄に対して罵詈雑言を吐いたのですが(心の中で)。
なんとこの列車はドイツの国境駅で列車ごとそのままフェリーに乗り込みます。(フェリーの船倉にまで線路が続いています。)予備知識も全くなかったのでこれには驚きました。
しかし一体どうやって地上の線路と船内の線路を結んでいるのか、、、。
編成が短い理由もこれでわかりました。(長い編成だとフェリーに搭載できませんね。)
国境を越えて、コペンハーゲンのある島までは1時間弱の航海でした。フェリーのデッキから見る夕日がきれいだったのを覚えています。
鉄道ファンでなくてもワクワクするような楽しいルートでしたが、今調べたところこのルートは残念ながら2019年12月に廃止されてしまったようです、、、。