高等部ブログ
リード通信Vol. 28バックナンバー
2025/05/18
リード予備校忠節校こんにちは。忠節校舎の高橋です。
1ヵ月ぶりにリード通信のバックナンバーをあげておきます。(本当はもっと頻繁にあげようと思っているのですが、ついつい、、、(笑)。)
今回は2024年2月号です。普段は田辺先生と私のコンビで書いていますが、毎年2月号は忠節の他の先生にも協力してもらい、受験生に向けたメッセージとなっています。
これを読んでいる方の刺激に少しでもなれば、幸いです。(時期的にはちょっと微妙な気もしますが(笑)、そこはバックナンバーなので、、、。)
※※※※※
リード通信Vol. 28 (2024年2月号)
(なるべく)毎月1日送信。ただしいつまで続くかは??
1,今月のお話
今月は毎年恒例の忠節スタッフによる受験生に向けた熱いメッセージです!
※※※※※
この時期になるとある一人の生徒のことを思い出します。
Aさんは高校受験では公立不合格で、滑り止めの岐阜東高校に進学した生徒です。岐阜東はリードの集団授業の対象高校ではないので、私が個別で英語を担当していました。
彼女は南山大学を目指していましたが、模試の判定は全てEでした。
私自身、「頑張れ!」と声を掛けてはいたものの、正直南山はキビシイので、なんとか愛知大学あたりに滑り込んでくれればいいかな、くらいに思っていました。
彼女がすごいのは、模試の結果が毎回毎回E判定なのに、明るく前向きに頑張り続けたことです。(もちろん、裏ではいろいろ辛い思いもあったでしょうが。)
そんな彼女を見て「この子はすごいな」と、一人の人間として心から尊敬していました。(それでも南山に受かるとはとても思えませんでしたが(笑)。)
そんな彼女の学力に変化が訪れたのは、センター試験後でした。
南山の過去問を解かせると、意外にできる。それまであんなにできなかったのに(笑)。
これはもしかしてもしかすると、、、と思ったら、最終的に南山大学経済学部に学部個別で合格しました。(それ以外の学部・受験方式は全て不合格でしたが。)
あなたが目指す大学に合格できるかどうかは当然のことながらわかりません。
Aさんのように模試でず~っとE判定だったのに合格するケースもあれば、ず~っとA判定だったのに本番で落ちてしまうケースも(残念ながら)あります。
もし挑戦すれば100%確実に報われるなら、それがどんなに大変でもみんな挑戦するでしょう。挑戦が報われないかもしれないところで、でも報われる可能性をしっかりと信じて前向きに頑張り続ける。
これができるのが皆さんだと信じています。
努力は時に裏切ります。でも最終的には必ずあなたにとってプラスになります。
だからこそ、最後まで走り抜けろ!
高橋
※※※※※
私が言いたいのは
最後まで1点でも多くとることを考えろ!
これだけです。
(過去問がなかなか解けずに不安になることもあると思います。
大丈夫です。自分で気づかなくてもちゃんと力はついています。
立ち止まらずやるべきことを最後までやり通しましょう)
田辺
※※※※※
① 大学受験は人生で最もフェアな競争である。
一点刻みで合否が分かれる受験の世界を残酷だと思ってはいけません。
一点刻みで正当な評価をしていただけることは幸せなのだと理解して下さい。
なぜなら,大人になったら,社会に出たら,いつもこうは行かないのです。
教科書も模範解答もない中で,理不尽や不可能とも思えるような課題に向かわなければいけません。
(それもそれで,人生の楽しさ・醍醐味だと感じるようになる日も来ます。きっと。)
数年後のそんな世界に備えつつ,この日々をあともう少しだけ,よくよく噛み締めて過ごして下さい。
② もうすぐ「生涯の友人」に出会います。
高校までの友人以上に,大学で出会う友人というのはあなたにとって「生涯の友人」になるでしょう。
あなたと同じような夢を持ち,同じような経験を積み,同じような汗や涙を流してきた仲間です。
困難に直面したとき頼りになる仲間,心の底から尊敬に値する仲間です。
そんな心躍る出会いがもうすぐあなたを待っています。うらやましい限りです。
ただし,あなたが「生涯の友人」に出会うための必要な条件があります。
あなた自身も彼らにとっての「生涯の友人」になることです。
覚悟はできていますか? 大丈夫,これだけ努力を重ねてきたんだから。
堂々と胸を張って,次の春を迎えて下さい。
③ 神はサイコロを振らない。
のちに量子力学と呼ばれる新理論が“確率的”であることに反論したEinsteinの言葉です。
(皆さんのうちの何割かは,数年後に量子力学を学んでいることでしょう)
意図は違えど,私もこの言葉をよく語っています。
神様は,サイコロやコインに任せて我々の人生を決めているわけではありません。
あなたがこれまで積み重ねたきた努力を,神様も,周りの人たちも,すべて見てくれています。
ぜひ,最後の最後まで,全身全霊でやって下さい。
そうすれば必ず,満足できる結果がついてくることでしょう。
今橋
※※※※※
いままで、大学受験生と何人も接してきましたが、
合格する受験生が決まって言うセリフがあります。
(※もちろん、だからといってこのセリフを無理に言う必要は無いですが)
「先生にここまでやってダメならもう諦めがつきます」
言葉の枝葉は違えど、このようなセリフです。
想像を絶する努力の先にあるものは一種の「諦念」だと私は考えています。
大谷翔平のような誰からも愛されるアスリートになること、
スティーブジョブズのように人々の生活を根底から覆す発明をすること、
すべての人間が彼らと同じことができるとは思っていません。
努力すればするほど、自分の可能性の限界に気づかされます。
人類史上もっとも偉大な科学者の一人、アインシュタインは次のような言葉を残しています。
「The more I learn, the more I realize I don’t know. The more I realize I don’t know, the more I want to learn. (学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる)」
(※この言葉にピンときたみなさんは生粋のリードっ子ですね。旧集団館の壁にあった言葉です)
努力した先に「諦念」を抱くことは逃げではなく成長です。
むしろ自分の可能性の限界と向き合えないことこそが逃げであり成長は終わります。
国公立大学二次試験まで残り3週間と少し。
すべてを犠牲に志望校に向けて突き進み、大学受験の極地まで至ることを楽しみにしています。
日比野
※※※※※
毎年ここでは厳しい話をしています。
みなさん、まだ何も終わってはいません。
共通テストが終わり、何か緊張の糸が切れていませんか?
12月の自分の方が一生懸命に勉強していませんか?
心当たりがある人は気を引き締め直してください。
前期試験までまだまだ長いです。
毎年この時期空気が緩みます。
私大の受験が終わるとさらに緩みます。
これはチャンスです。
世の中の受験生はそれに気が付かずに
この期間を漫然と過ごすことになってしまいます。
共通テストの結果がよくてもう受かった気になっていませんか?
志望校を下げたから大丈夫だと思っていませんか?
そんなに甘くないですよ。
最後まで、貪欲に取り組みましょう。
そこがあれば納得した最後を迎えられると思います。
もう一度言います。
まだなにも終わっていません。
残りの3週間しっかり追い込みなさい。
土屋
※※※※※
2、田辺の一冊 田辺の独断と偏見で本を紹介します。
執行草舟『友よ』
「私が本書で取り上げた詩歌どもはすべて私の親友のような存在であり、人生の恩人とも言えるものしかない。」執行氏の好きな詩とそれに対する思いが書かれています。
近代日本の詩人萩原朔太郎の『告別』という詩については
汽車は出発せんと欲し
汽罐(かま)に石炭は積まれたり。
いま遠き信号燈(しぐなる)と鉄路の向ふへ
汽車は国境を越え行かんとす
「信号燈は、自己の人生の前に立ちはだかる壁と目標の、両者を表わすと解する。」「いかなるものがあろうが、自分は行くと決意している。」「国境を越えるとは、生まれ変わるに等しい自己の変革を意味している。」「石炭は紅蓮の炎として燃えさかり、その猛々しい鉄の体は、体ごと国境を突破するのだ。」
こんな感じでひたすら感じる思いを述べているですが、読んでいると執行氏の感動がこちらにも伝わってくます。萩原朔太郎の詩はなんとなくそのリズムと響きが好きで読んではいたのですが、こんな解釈ができるのかと、この詩の世界はこれほど広いのかと驚きました。この本によって初めて自分は「詩」というものの本当の面白さ、奥深さを知りました。
詩というとへなへなした軟弱なイメージ?を持っている人もいるかもしれませんが、全人生を結集したような詩もあります。
筆者は言います「詩の生命の中に、自己の燃ゆる思いを託して今日まで生きてきたのだ。辛い時には詩と共に哭き、楽しい時には詩と共にその嬉しさを実感してきた。」
古来和歌には人々の気持ちを代弁する役割がありました。詩にされることで、心を整えてそれを味わうことができます。欲しかった表現を与えてくれる詩・詩人に出会うことはとても重要な体験です。
全員ではないでしょうが、この本をなにか読んで人生で大切なものを得られる人もいるのではないかと思います。ぜひ一度手に取ってみてほしいです。
※※※※※
3、高橋が過去に訪れた国を紹介するコーナーです。読んでも特に何の役にも立たないので読みたい人だけどうぞ(笑)。今回はクロアチアです。
首都:ザグレブ
最大都市:ザグレブ(人口約81万人)
面積:約5.7万平方キロ(九州の約1.5倍)
人口:約387万人
一言メモ:なぜかサッカーワールドカップでよく日本と当たる国。日本が初出場した1998年から直近の2022年まで3回も対戦している(成績は日本の1分2敗)。
クロアチアの観光地で圧倒的No. 1は、世界遺産にも登録されている「ドゥブロヴニク旧市街」です。アドリア海に飛び出した要塞都市は全長2kmに渡って城壁に囲まれており、その内側には宮殿、大聖堂、修道院など地中海貿易で栄えた栄華を今も色濃く残しています。
城壁の上は遊歩道になっていて、上から見渡すオレンジ色の屋根とその向こうのアドリア海の鮮烈なブルーが何とも美しいです。
また、たまたま一緒になった日本人に近くの島にヌーディストビーチがあることを教えてもらい、期待を胸に行ってみたらおっさんしかいなくて2人でがっかりしたことも今となっては楽しい思い出です(笑)。
しかし、私がクロアチア滞在で最も記憶に残っているのは、ドゥブロヴニクの次に訪れたスプリトでの出来事です。
スプリトもまた歴史のある町で、旧市街は世界遺産に登録されています。しかし、横綱級のドゥブロヴニクを先に見てしまったこともあり、スプリトは何を見ても正直「イマイチ」でした。
そんな中、街の中心に建っている大聖堂に行ってみます。2階の奥が宝物室になっていて、入場料が大人は20クーナ(当時400円)のところ学割でなんと5クーナ(100円)だったこともあり、入ってみました。(私は学生ではありませんでしたが、インドで作ったニセ学生証は持っていました。)
中世の聖職者の衣装や聖杯などが展示されていましたが、「まあこんなもんか」とここでも半ばガッカリして、ほとんど見終わりかけたそのとき、飾り棚ケースの一番下に無造作に置かれていた一枚の絵に目が留まりました。他の絵と違い、この絵には現地語の説明もついていませんでした。
多分マリアとキリストでしょうが、黒服をまとった母親が赤ん坊を抱えて、その子に向けて優しく微笑んでいます。この母親がとても可愛らしい。そしてすごくオリエント的な顔立ちをしています。低い鼻、広い眉間、そして黒髪。その髪は彼女の黒服と同様に背景の漆黒と溶け合い、もはや境はありません。
しかし赤ん坊は真っ白です。輝くような白ではなくて、病的な白。あまりにも薄弱。そしてもう一度母親の微笑を見てみると、なんか悲しげにも見えます。
今まで自分が見てきた絵の中のイエス・キリストはどれも栄光に身を包まれた輝くような赤ん坊として描かれていました。そしてクリスチャンでもない私はそのような絵のどれにも感動することはありませんでした。
しかしこの絵はそれらのどれとも違い、人間キリストとしての薄命や彼の身に今後降りかかる多大な苦難を表しているかのようです。
命は、はかない。そして、はかないからこそ美しい。この絵はそのことを見るものにまざまざと訴えかけてきるようでした。
この絵に出会わせてくれた偶然に感謝しています。