高等部ブログ
リード通信Vol.14 バックナンバー
2023/07/26
長良校舎にいる高橋です。
現在、夏期講習の傍ら、2年生のマナビス受講に向けた二者面談を実施中です。
その際に当然志望校や将来の目標なんかについての話もするのですが、生徒たちが本当にいろいろなことを考えているのが良くわかります。(それと比べると自分が若いときは本当に何も考えていなかったな、と痛感させられます(笑)。)
リード通信のバックナンバーを1つアップしておきます。情報は2022年12月当時のものですのでご注意下さい。
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忠節校限定! リード通信Vol. 14 (2022年12月号)
(なるべく)毎月1日送信。ただしいつまで続くかは??
1、今月の予定(省略)
2、今月のお話
この20~30年で日本が本当に貧しい国になったことを痛感しています。
昔は、ごく一部のヨーロッパ諸国を除けば、だいたいどこの国に行っても物価は日本よりも安かったです。今ではそれが逆転し、海外からの観光客が「日本は安い!」と言って爆買いをしています。
最近はニュースでも「オーストラリアならアルバイトでも月給80万!」なんてやっていますね。実際、若い人の中には海外に「出稼ぎ」に行く人もいるようです。
このままいくと、高校生の皆さんは日本で就職する限り、それなりに成功して平均以上の給料をもらえたとしても、「世界的に見たら貧乏人」になってしまうかもしれません。
これからは「(もし自分が望むならば)海外で働くことができる」ようになるためのスキルを身につけておくことが必須になるのかもしれませんね。
前置きが長くなりましたが、今回は海外で働きたい、それも国連の諸機関で働きたい、という大きな夢を持っている人(あるいは、今はそんな大それた夢は持っていなくても将来そのような夢を持つかもしれない人)に向けた話です。
国連諸機関での職を得るためには、2つの主要なルートがあります。
1つ目は、外務省による国際機関への派遣制度(JPO制度)を利用するルートです。選考に通ると、原則2年間国際機関に派遣されます。そこでの仕事ぶりが認められれば、正規職員として採用される可能性が高くなります。実際、国連機関の日本人職員の半数近くがこの制度経由です。
外務省のJPO派遣制度のサイトによると、「一般的に「国連の仕事」としてイメージされるような開発・人権・人道・教育・保健・平和構築の分野に加え、IT、ロジスティックス、調達、法務、財務、広報、人事、会議管理、モニタリング評価(M&E)環境、工学、理学、農学、薬学、建築、防災等」まで、本当に様々な分野の人材を募集しているようです。
2つ目は国連平和大学へ留学するルートです。
国連平和大学は国際平和学の修士課程があり、世界中から意識が高く優秀な生徒がコスタリカにあるキャンパスに集まります。日本財団による奨学金制度があり、そちらに受かれば生活費まで含めて全額支給されます。(不勉強の私は「国連平和大学」の存在すら知りませんでした、、、。)
皆さんの中から誰か挑戦する人が出てくればいいな、と思っています。
高橋
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3、田辺の一冊 田辺の独断と偏見で本を紹介します。
長谷川三千子『日本語の哲学へ』ちくま新書
ただしく問うことはただしく答えるよりも難しいといいますが、この筆者はどこに疑問を持つかという着眼点が面白くて読むたびにこの人はすごいと思います。初めて読んだのは『からごころ 日本精神の逆説』という本で、これもびっくりするほど面白いのですが別の本を紹介します。
なかなか難しくて正確には理解できていないかもしれませんが、
「真理」を語ろうとすることは、結局は「言語」の問題に行き着くのであり、「言語」は単なる考えるための道具ではなく、「言語」がどう働いているのかを考えることが哲学になる。そして日本語を考えることによって西洋語ではたどり着けなかった世界が開けるのではないか、という話です。(和辻哲郎もこの問いにたどりついたものの、その深さと困難さに気づき、一定の答えを出すにいたらなかったのではないかと筆者は推測しています。)
「『てにをは』をもたない言語の限界」といった言葉などがでてきて興味深いのですが、この本の後半は「もの」「こと」とはなんなのか探求していきます。
「もの」「こと」はいったい何を意味するのか。本居宣長は「もののあはれ」を文芸の本質としましたが、この「もの」は何なのか。日本人は「もの」「こと」の意味を無意識のところではちゃんと分かっているはずで日常で使いこなしています。しかし、いざ「もの」「こと」とは何かと立ち止まって聞かれると答えに窮してしまいます。
筆者は万葉集などを手掛かりに「もの」「こと」の本質に迫ります。ここの議論は斬新で、長くなってしまうので書けませんが、「もの」は消滅の働き・「こと」は生成の働き、というのが結論です(これだけだと意味不明ですね)。自分でもまだ納得しきれておらず、また考えてみたいところですが、ああでもない、こうでもないという筆者の考えの道が面白いです。(ああでもないこうでもないと、冒険するように考えを掘り下げていくところがこの筆者の魅力です。)
筆者にとってもまだまだ研究の途中で、筆者とは異なる考えの「もの」「こと」論も多くあります。ここからどんな世界が広がるかは今後の課題です。(自分がもし今から大学に入るならこういうことをやりたいと思ったりします)
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4、おまけ(高橋の世界各国つれづれ訪問記)
高橋が過去に訪れた国を紹介するコーナーです。読んでも特に何の役にも立たないので読みたい人だけどうぞ(笑)。第14回はセルビアです!
首都:ベオグラード
面積:約77,500平方キロ(北海道と同じくらい)
人口:約693万人
一言メモ: 「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたバルカン半島に位置する国で、民族紛争が繰り返された。2008年にコソボがセルビアから独立宣言したが、セルビアは現在も承認していない。
私が訪れた時はまだセルビアという国は存在せず、ユーゴスラビアでした(その後セルビア・モンテネグロ→セルビアと名前を変えています)。
ユーゴスラビアは実質3日しか滞在しなかったのですが、それでもこの国が私の中で印象に残っているのは、現地で買ったある土産物のせいです。
その土産物はベオグラードの路上マーケットを冷やかしていたときに見つけました。私はそれを見てとてもビックリしました。それはほんの数年前のお札だったのですが、、、
何と額面が500,000,000,000!(笑)
販売していた若いお兄さんの説明によると、この5,000億紙幣はほんの2~3カ月しか使用できなかったそうです。ハイパーインフレ時代の「記念品」として、当時のレートで200円くらいで売っていました。
私は旅行をしても自分用の記念品とかお土産の類はほとんど買いません。買っても時が経てばどうせ処分してしまうので。
でも、お札ならかさばらないし、お土産としても面白いので、このときは思わず1枚買ってしまいました。
ハイパーインフレの破壊力はすさまじいものがあります。
これは後で知ったのですが、ハイパーインフレに襲われた4年ほどの間にユーゴスラビアの通貨の価値は120,000,000,000,000,000,000,000,000,000分の1になったそうです。(←誰かこの数字読めますか(笑)?)
このハイパーインフレは、最終的には自国通貨を当時のドイツ通貨であるマルクと等価で固定することで収まりましたが、、、。
果たして日本は大丈夫だろうか(笑)。