高等部ブログ
高校生に薦めたい 今井むつみの認知心理学入門2冊
2025/09/13
キャリア教育高校生に薦めたい「今井むつみ」の認知心理学入門書――今井むつみ 認知心理学 高校生 向けの2冊
高校生 に役立つ2冊として、『学びとは何か』と『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』を紹介します。どちらも慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の一般教養で扱われる内容で、理系・文系を問わず学べる視点が得られます。
慶應義塾大学SFCの一般教養で扱われる『学びとは何か』の概要(少し難)
『学びとは何か ―〈探究人〉になるために』(岩波新書)は、人間がどのように学ぶのかを認知心理学・認知科学の視点からわかりやすく解説した一冊です。知識は単なる暗記の集合ではなく、既存の知識と新しい情報が結びついて広がるネットワークとして描かれます。その中心にある概念がスキーマで、私たちは持っている枠組みを使って新しい事柄を理解し、ときにその枠組み自体を修正しながら学びを深めていきます。
本書ではさらに、子どもの言語獲得を例に学びの本質が示されます。子どもは言葉を丸暗記するのではなく、文脈や体験と結びつけて意味をつくり、間違いと修正を繰り返しながら使い方を身につけます。高校生にとっては、勉強を「暗記中心」から「理解と探究」へと転換する発想を与えてくれる内容です。
高校2年生のキャリア教育で紹介した、エリクソン教授の内容も紹介されています。
・「熟達するとはどういことか」
・「熟達による脳の変化」
・「いかに練習するか」「努力か、才能か」
いい復習になると思います。
進路や人間関係に生きる『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』の概要(読みやすい)
『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』(日経プレミアシリーズ)は、著者の慶應SFCでの最終講義をベースに、進路選択・人間関係・将来の不安など私たちが直面する課題を認知心理学の観点で整理する本です。意思決定は感情と合理性のせめぎ合いで成り立つという前提から、物事を判断する際に自分の価値観とデータの双方をどう扱うかが平明に語られます。また、確証バイアスなどの思い込み(バイアス)を理解することの重要性も強調されます。
さらに本書は、急速に進むテクノロジー環境――とくに生成AIの時代――において、人間だけが持つ「仮説を立てる力」や「体験と意味を結びつける力」に光を当てます。これらは高校生が自分の頭で考える軸をつくるうえで不可欠であり、学びを将来の生き方につなげる視点を与えてくれます。
理系・文系を超えて役立つ認知心理学の視点
認知心理学は、理系・文系の枠を超えて幅広い分野に接続します。理系ではAIや脳科学、ヒューマンインタフェース設計、文系では教育学・言語学・経済学・法学における意思決定研究など、多面的な応用が可能です。高校段階でこの視点に触れることは、大学で学ぶ多様な領域を一段高い視座から見渡す準備になります。今井むつみ 認知心理学 高校生 という観点で見ても、早期に身につけておきたい“学びの土台”といえるでしょう。
高校生がこの2冊を読むメリット(要点)
- 学びの本質を理解:知識をつなげて意味をつくる視点が得られ、受験の先を見据えた学びに変わる。
- 意思決定の質が上がる:感情と合理性の両面から進路や人間関係を整理でき、思い込みにも気づきやすくなる。
- AI時代に必要な力を強化:仮説を立てて検証する、人間ならではの思考の価値を自覚できる。
まとめ
『学びとは何か』は学びの仕組みと知識観を、『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』は悩みや選択に向き合う思考の型を、それぞれ高校生にも読みやすい形で示してくれます。慶應義塾大学SFCの一般教養として扱われる内容に触れながら、理系・文系を問わず自分の学びを人生へと接続する第一歩として、ぜひ手に取ってみてください。