高等部ブログ
人はどのように類推を起こすのか?@リード予備校
2023/02/24
こんにちは、リード予備校の佳山です。
面白い・興味深い本を見つけたときは、必ずその著者の他作品も読みます。
まず、面白いと思ったのは
「私たちはどう学んでいるのか」 鈴木宏昭 ちくまプリマー新書
ちくまプリマー新書は、中学生とか高校生が読む本なので、かなり読みやすいんですが、たまに難しい本もあります。この本は高校生でも読み応えがある感じになってますが、
この本で面白かったのは、第3章「上達する−練習による認知的変化」
スランプに陥る原理を説明してくれています。「練習のべき乗則」、勉強でも部活でもスランプは避けて通れませんし、その時にどのような心構えでいられるかはとても重要です。 スランプに陥る原理を知っていれば、取るべき対処も変わってきますね。 べき乗則は、正規分布などの統計分布でよく出てきます。 歴史的に大きな災害もべき乗則で発生するなども結構有名です。
この本を読んでから、この著者さんの本は面白いと思いまして、他作品を調べていますと、これは読まないといけないと思えるタイトルに出会いまして
「類似と思考」 ちくま学芸文庫
なかなか読み応えのある本ですが、「類推」について書かれています。 人がどのように類推を起こすのかは、まだはっきりと分かっておりませんが、類推を起こすメカニズムについて考察されています。
大学受験の特に二次試験で、初見の問題に対して「類推」を起こし解けるかがポイントになります。
類推を起こすトレーニングは、リード予備校では数年前から実施しておりますが、類推を起こさせるメカニズムや学説に関してはまだまだ勉強不足でした。
この本を読んで人がどのように類推を起こすのか完全理解には至りませんが、それでも指導する上でのヒントは十分すぎるくらい得られました。
では、少し引用をさせていただきます。
抽象度の高いルールを利用することは初学者には困難であることが繰り返し示されてきた。このようなことから、類推─具体例の直接的な適用─が注目を浴びるようになってきたわけである。しかし準抽象化理論にしたがえば、具体例の検索やそこからの直接的な写像はきわめてコストがかかる計算である。そこで本節では準抽象化の導入により、転移を促進する可能性を考えてみたい。
引用:鈴木宏昭. 類似と思考 改訂版 (Japanese Edition) (p.218). Kindle 版.
準抽象化理論?? 写像?? という感じですが、最初から読むとなんとなく分かります。 これを理解できるだけでも、集団授業で生徒に教える時に意識すべきことが劇的に変わります。
認知心理学の世界は、私の専門ではありませんが、私が専攻していた分子生物学と同じくらい面白いと思える分野ですし、今後も伸びていく分野とも思います。
認知心理学や名古屋大学や名市大の心理系学科に興味がある生徒は、読んでみて欲しい本ですね☆
ただ生徒よりは講師に読んでほしいと思う本ですが。
リード予備校には、柳田國男全集を読む田辺先生以外にも、読書家がたくさんいまして、長良校舎の水原先生におすすめしたところ、生徒指導のためになるならといって即購入して読んでいました
下にある岩波新書の「地球外生命 われわれは孤独か」も私が薦めて本です。
最近、生徒指導や新年度の準備などで仕事に忙殺されていまして、夜だけは仕事を関係のない本を読みたいと思って読んでいた本です。
SF小説よりも面白い本です。 長沼先生の本にハズレはないですね。