高等部ブログ
東大物理の質問@忠節校
2022/08/05
こんにちは、リード予備校の佳山です。
本日は、気体分子運動論の東大物理の質問がありました。
最後から2つ目の設問の質問です。
「これ、運動エネルギー保存が成り立ってるんですが、弾性衝突で跳ね返り係数1になりますよね? 跳ね返り係数1で計算したら答え合わないんです。」
「そもそも、跳ね返り係数1の時に運動エネルギーが保存するのかなぜなのか? 跳ね返り係数が1でない時に、この問題みたいに運動エネルギーが保存する時はあるのか?」
という質問でした。
跳ね返り係数が1でないと運動エネルギーは保存しません。 (衝突物体の質量が非常に大きい場合も近似的に保存することはありますが)
運動エネルギー保存から、はね返り係数が1になることを式で示しました。
そして、この東大の問題、運動エネルギーが保存していて、なぜはね返り係数1で計算すると答えが合わないのか
それは
この問題が、二原子分子の回転エネルギーを含んでいるエネルギー保存の式であって、運動エネルギー保存ではないからでした。 勘違いということもありますが、判断が難しい問題であると思います。 回転エネルギーを含んでエネルギー保存しているので、運動エネルギーのみでは保存しない、つまりはね返り係数は1でないということになります。
そして、さらに質問が来まして
「なぜ、相対速度では運動エネルギーは保存しないのか?」「重心速度で解くときは、運動エネルギーは保存するのにどうしてですか?」
いい質問だなぁと思いまして、これもざっくりですが紙に書いて説明をしています。
答えを言うと、慣性系(重心速度が0または等速の時)は運動エネルギーが保存します。 重心速度一定系の問題はよく入試問題に出題されます。 重心速度が一定の場合、観測者を重心と共に運動するとして、相対速度で運動エネルギーが保存することを式で示してみました。 重心速度が一定、つまり運動量も保存しますので、綺麗に運動エネルギーが保存されます。
ただ、重心速度が一定でない、何らかの力を受けて速度が変化する場合、慣性力がかかりますので(外力がかかるのと同じ)、運動エネルギーは保存しないことも説明で書き加えました。
普通は、はね返り係数1で運動エネルギーは保存や、相対速度で運動エネルギーは保存しないなどは解法として覚える生徒が多いと思います。まれに東大や東工大志望の生徒で、それはなぜなのかを聞いてくる生徒はいますが、この生徒は、よく考える生徒なのでその質問が多いように思います。
ただ、この生徒の質問や疑問点を聞いていますと、確かにそこ疑問に思う!という質問なので、即答できない時は調べて質問に答えます。
「地球上で運動を観測することは、そもそも相対速度になってるから、相対速度で運動エネルギー保存しないっておかしいよね?」というと、この生徒も「そうなんですよ!」と激しく同意していました。 こんな話から宇宙の話やSFの話に発展して盛り上がることを期待していますが、いまだにないですね。笑